コンテンツ運用の仕組み化

BtoBリードの「質」評価、マーケと営業はなぜ食い違うのか——商談化率「未測定」が最多という実態

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BtoBリードの「質」評価、マーケと営業はなぜ食い違うのか——商談化率「未測定」が最多という実態

「良いリード」の定義は、部門ごとに違う

BtoB企業のマーケティング部門と営業部門は、しばしば同じ「リード」という言葉を使いながら、まったく違うものを見ています。マーケティング側は「獲得数」や「資料ダウンロード数」を成果として報告する一方、営業側が求めているのは「今すぐ話が進む見込み客」です。この定義のズレが放置されたまま運用が続くと、マーケティングは数を追い、営業は「使えないリードばかり」と不満を溜める、という構図が固定化してしまいます。

デジタルエクスペリエンス株式会社が運営するイベント管理プラットフォーム「EXPOLINE」が2026年7月に実施した「BtoBイベントマーケティング実態調査2026」(中堅・大手企業のマネジメント層・実務担当者471名対象)は、この構図を数字で裏づけました。企画・マーケティング部門と営業部門の間で、獲得したリードの「質」に対する満足度そのものが食い違っており、客観的な品質基準が整備されていない実態が明らかになっています。

測っていないから、ギャップが埋まらない

同調査でとりわけ目を引くのは、「商談化率」の測定状況です。BtoBイベントの中でも実施頻度が高い「外部主催の展示会」について、商談化率を「測定・追跡していない」と回答した割合が最も高いという結果が出ています。

これは単なる集計の手間の問題ではありません。測定していなければ、マーケティングが供給したリードのうちどれだけが実際に商談へつながったかを、部門間で客観的に議論する土台自体が存在しないということです。「質が低い」という営業側の感覚も、「ちゃんと数は取れている」というマーケティング側の主張も、どちらも検証不能な水掛け論のまま繰り返されます。コンテンツマーケティングの世界で言われる「作って終わり・測っていない」という課題が、リードの出口側でも同じ形で起きていると見ることができます。

ギャップを埋める土台は、定義の言語化から

このギャップを解消する出発点は、高度な計測ツールの導入ではなく、「良いリードとは何か」を部門横断で言語化することです。一般に、リードの定義は業種によっても異なり、製造業では年間の購買予算や決裁部門が重視される一方、IT業界では従業員規模や意思決定者の関与度が重視される傾向があるとされます。重要なのは、マーケティング側が「営業側では変えられない属性条件」を明確にし、営業側が「反応速度と提案品質」を担保するという、役割分担の明文化です。

具体的な仕組みとしては、マーケティングと営業の間で交わす「SLA(サービスレベルアグリーメント)」の設計が挙げられます。対応スピード、対応回数・期間、フィードバックのルール、リードを差し戻す条件などをあらかじめ合意しておくことで、「渡したのに反応がない」「質の低いリードばかり回ってくる」といった感覚的な対立を、運用ルールの問題として扱えるようになります。あわせて、企業属性(業種・規模・役職などの属性スコア)と行動情報(資料ダウンロードや特定ページの閲覧、ウェビナー参加などの行動スコア)を組み合わせたリードスコアリングを導入し、一定のスコアを超えたリードだけを営業に引き渡す設計にすれば、「量」と「質」の基準を数値で共有できます。

コンテンツ運用を内製化する企業ほど、出口設計が問われる

コンテンツマーケティングを内製化する企業にとって、この論点は決して他人事ではありません。記事やホワイトペーパーを内製で作り続けても、それが商談化率という形で成果に結びついているかを追えていなければ、「本当に効果があるコンテンツ運用」なのか「作業量だけが積み上がる運用」なのかを、社内で説明できなくなります。内製化のロードマップを描く際は、コンテンツの制作体制だけでなく、リードの定義とハンドオフのルールをセットで設計しておくことが、遠回りに見えて最短の道になります。

&.CONTENTのようなツールで自社コンテンツ運用の内製化を進める企業にとっても、この視点は重要です。INSIGHTのフェーズでマーケ部門と営業部門の「良いリード」の定義のズレを可視化し、MEASUREMENTのフェーズで商談化率という指標を継続的に追える状態を作ることが、コンテンツ制作そのものの改善サイクルを回す前提になります。

BtoBコンテンツ制作の現場でも、対象読者や課題設定が曖昧なまま着手されがちだという調査結果が別途報告されており(BtoBコンテンツ制作、9割超が「対象・課題が曖昧なまま」着手——ペルソナを営業と共同更新できているのは24.3%)、ペルソナ設計の段階からマーケと営業が接点を持てているかどうかが、その先のリード品質を左右している可能性があります。またオウンドメディア運用の現場でも「成約につながらない」ことが最大の悩みとして挙げられており(オウンドメディア運用の最大の悩みは「成約につながらない」44.3%——Zenken調査に見る内製化後の壁)、コンテンツの出口設計が組織全体の課題として共通していることがうかがえます。

まとめ

「リードの質」をめぐるマーケティング部門と営業部門の認識ギャップは、感覚や相性の問題ではなく、多くの場合「定義していない」「測っていない」という運用上の空白から生まれています。EXPOLINEの調査が示すように、商談化率を測定していない企業が一定数存在する以上、まずはリードの定義とハンドオフのルールを言語化し、測定を仕組みとして組み込むことが、部門間の対立を減らす現実的な第一歩になります。コンテンツ運用を内製化する企業にとっても、この「出口の設計」は制作体制の整備と同じくらい優先度の高いテーマだと言えるでしょう。

編集後記

リードの「質」というあいまいな言葉ほど、部門ごとの物差しの違いを覆い隠してしまうものはないと感じます。数字で語れる土台を先に作っておくことの大切さを、あらためて考えさせられる調査結果でした。

#内製化#編集体制#コンテンツ運用#編集フロー