コンテンツ運用の仕組み化

オウンドメディア運用の最大の悩みは「成約につながらない」44.3%——Zenken調査に見る内製化後の壁

|DIGITAL MARKETING Group
オウンドメディア運用の最大の悩みは「成約につながらない」44.3%——Zenken調査に見る内製化後の壁

リード獲得の先にある「見えない壁」

オウンドメディアを内製化する目的は、多くの場合「外注コストを抑えながら、自社の言葉で発信を続けたい」という動機から始まります。記事を書く体制が整い、公開本数が安定してくると、次に問われるのは「その記事が事業の成果にどうつながっているか」という一段深い問いです。

Zenken株式会社が発表したオウンドメディア運用担当者300人(全国・現在または過去にオウンドメディアを運用した企業)を対象にした調査は、この「一段深い問い」の手前で多くの企業がつまずいている実態を数字で示しています。

Zenken調査が示す数字——最多課題は「成約につながらない」44.3%

同調査によると、オウンドメディア運用における課題として最も多く挙げられたのは「成約(問い合わせ)につながりにくい」で44.3%でした。次いで「問い合わせ数が少ない」が37.3%、「リード対応にかかる営業コストが高い」が34.0%と続きます。

注目したいのは、上位を占めるのがいずれも「リード(問い合わせ)」に関する課題である点です。記事の本数や質そのものよりも、記事の先にある「リードから商談へ」というプロセスに悩みが集中しています。また同調査では、企業のオウンドメディアの85.3%がコロナ禍中に開設されたという結果も出ており、比較的新しいメディアが多いことも背景として読み取れます。

なぜ「記事は書けているのに」成約に届かないのか

この結果は、コンテンツマーケティングの内製化を進める企業にとって示唆的です。内製化の初期段階では「まず記事を継続的に出せる体制を作ること」が最優先課題になりがちですが、それが実現した後に待っているのは「出した記事が本当に商談化に寄与しているのか」を追跡できていないという壁です。

記事単位のPV数やセッション数は計測できていても、そこから先——どの記事を読んだ見込み客が問い合わせに至ったのか、問い合わせが商談化し成約に至ったのか——という一連の流れを可視化する仕組みは、後回しにされやすい領域です。制作体制の内製化が先行し、成果計測の内製化が追いついていない状態と言い換えることもできます。

内製化が進むほど問われる「運用フェーズ」の設計

制作の内製化に一定の目処が立った企業ほど、次のフェーズとして「運用の設計」が問われます。何を書くか(企画)、どう書くか(制作)に加えて、書いた記事が事業にどう効いているかを追う仕組みがなければ、次の打ち手を判断する材料が手元に残りません。

この論点は、以前の記事「外注脱却」を半年で実現する内製化ロードマップ——つまずきやすいのは「初稿の壁」で扱った「制作フェーズのつまずき」の、もう一段先にある壁とも言えます。内製化のロードマップは「書けるようになること」だけでは完結せず、「書いたものの効果を追えるようになること」まで見据えて設計する必要があります。

BtoBマーケティングの現場でも同様の傾向が指摘されています。「リード数至上主義」からの転換——BtoBマーケ調査が示す自社コンテンツ投資の最多化で紹介したように、リードの「数」だけを追う運用から、質や転換までを見る運用へと視点を移す動きが広がりつつあります。今回のZenken調査が示す「成約につながらない」という悩みも、この転換の必要性を裏付けるデータと位置づけられそうです。

計測なき運用改善は堂々巡りになる

「記事を増やす」「テーマを見直す」といった打ち手は、成果が見えない状態では効果検証のしようがありません。改善のサイクルを回すには、まず「どこで詰まっているか」を可視化することが出発点になります。

&.CONTENTのMEASUREMENTフェーズは、公開した記事がリード獲得や商談化にどう寄与しているかを追跡できる形で設計を進めている領域です。INSIGHT(企画の根拠づくり)・CREATION(制作)の内製化が進んだ企業ほど、次に必要になるのがこの計測の視点だと考えています。

まとめ

Zenken調査が示した「成約につながらない」44.3%という数字は、記事を書く体制そのものよりも、記事の先にある転換プロセスの可視化に課題が集中していることを表しています。オウンドメディアの内製化は、制作体制を整えることがゴールではなく、成果を追跡し次の打ち手を判断できる状態まで到達して、初めて運用として機能します。

編集後記

「記事は増えているのに、成果の話になると急に歯切れが悪くなる」というのは、運用の現場でよく耳にする感覚です。今回のデータを見て、それが個別企業の課題ではなく、内製化が進む過程で多くの企業が通る共通の壁なのだと改めて感じました。制作と計測は、どちらか一方だけを整えても片肺飛行になってしまうものだと思います。

#内製化#コンテンツ運用#編集フロー#一次情報主義