BtoBコンテンツ制作、9割超が「対象・課題が曖昧なまま」着手——ペルソナを営業と共同更新できているのは24.3%

BtoBのコンテンツマーケティングでは、「誰に何を届けるか」を固めてから制作に入るのが理想とされています。しかし株式会社IDEATECHが実施した調査(BtoB向け商材のマーケティング・コンテンツ制作担当者111名対象・2026年8月4〜5日実施)によれば、対象や課題が曖昧なまま制作を始めた経験があると回答したBtoBマーケターは97.3%にのぼりました。制作の入口にあたる設計フェーズが、多くの現場でほぼ機能していない実態が浮かび上がっています。
営業と顧客像を共同更新できているのは24.3%
同調査では、営業部門と顧客像(ペルソナ)を共同で作成・更新できていると回答した割合はわずか24.3%にとどまりました。BtoBの購買はしばしば複数の関与者(起案者・選定者・決裁者・利用者)が絡む構造を持ち、現場の商談情報を握る営業部門との連携が顧客理解の精度を左右します。にもかかわらず、4社に3社近くはその連携が形になっていないという結果です。
顧客像の解像度が低いままでは、記事やホワイトペーパーの切り口を決める段階で「誰の、どんな意思決定を後押しするコンテンツか」が定まりません。結果として、制作側の手元にある情報や過去の実績だけを頼りに企画が進みやすくなり、読み手の実際の関心とのズレが生じやすくなります。
業界別コンテンツの必要性は認識されているのに進まない
同調査では、約9割のマーケティング担当者が「BtoBコンテンツは業界別に作成すべき」と回答している一方、実行の障壁として「手間・コストの大きさ」を挙げた割合が68.8%で突出しています。つまり、対象を絞り込む必要性そのものは広く認識されているものの、それを実行に移すための工数や体制が追いついていないという構図です。
これは単純な「意識の低さ」の問題というより、設計工程を回すためのワークフローが仕組み化されていないことに起因していると捉えるほうが実態に近いといえます。ターゲット設計を毎回ゼロから属人的に行っていれば、手間とコストが膨らむのは当然の帰結です。
CREATION以前のINSIGHT設計という土台
コンテンツ制作の工程を「誰に何を届けるか」を定めるINSIGHT(設計)と、実際に記事や資料を作るCREATION(制作)に分けて考えると、今回の調査結果はCREATION以前のINSIGHTの土台がほぼ全社的に崩れていることを示しています。制作の量や頻度をいくら増やしても、対象と課題の定義が曖昧なままでは、コンテンツが積み上がるほど「誰にも刺さらない」情報が増えていくリスクがあります。
営業部門との顧客像共同更新や業界別の切り口設計は、一度作って終わりにできるものではなく、商談や市場の変化に合わせて継続的に見直す運用が必要です。&.CONTENTのようなツールでも、INSIGHT(対象・課題の定義)からCREATION(制作)、MEASUREMENT(効果測定と改善)までを一連の流れとして扱う設計思想が重視されるのは、この土台部分が抜け落ちやすいという現場の実態と無関係ではありません。
コンテンツの本数や更新頻度といった「量」の指標だけでなく、対象と課題の定義がどれだけ組織内で共有・更新されているかという「設計の質」にも目を向けることが、今回の調査結果が示す次の一歩といえそうです。関連して、予算は増えても決裁者に届かない――BtoBコンテンツが「量から質」へ転換する理由や、「リード数至上主義」からの転換——BtoBマーケ調査が示す自社コンテンツ投資の最多化でも、量から質への転換という近い論点を扱っています。
まとめ
IDEATECHの調査は、BtoBコンテンツ制作の現場において、対象や課題を曖昧なまま制作に入ってしまう経験が97.3%と広く共有されている一方、営業部門との顧客像の共同更新は24.3%にとどまるという設計面の課題を明らかにしました。業界別コンテンツの必要性は約9割が認識しているものの、手間・コストの大きさが実行を阻んでいる構図もあわせて示されています。制作量を追う前に、誰に何を届けるかというINSIGHTの土台をどう仕組みとして継続的に回すかが、多くの現場に共通する論点だといえそうです。
編集後記
数字を並べてみると、「わかっているのに、なかなか動かせない」という感覚に心当たりのある方は多いのではないでしょうか。設計を一度作って終わりにせず、継続的に見直す仕組みをどう組み込むかは、私たち自身も日々模索しているテーマです。今回の調査結果を、自社の制作プロセスを振り返るきっかけとして受け止めていただければと思います。