コンテンツマーケティング戦略

AIは効いているのに動かないリード——ベーシック調査に見るBtoBナーチャリングの転換の壁

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AIは効いているのに動かないリード——ベーシック調査に見るBtoBナーチャリングの転換の壁

生成AIとAI検索の普及が進むなかで、BtoB企業が受け取るリードの「質」そのものが変わりつつあります。株式会社ベーシックが公開した「AI時代のBtoBマーケティング『ナーチャリング実態』調査」では、BtoB企業でリード育成・商談化に関わる担当者300名を対象にアンケートを実施し、直近1年のリードの変化を尋ねています。その結果、Webサイト経由リードが「商談化しやすくなった」「やや商談化しやすくなった」と回答した人は合計65.0%にのぼりました。

さらに、商談化しやすくなったと答えた層の62.1%は、その理由として「問い合わせ前に比較検討を進めるリードが増えた」ことを挙げています。つまり、リードが営業に渡る前の段階で、すでに検討がかなり進んでいるという実感が、現場に広がっているということです。

「効いている」実感と、現場の手応えのギャップ

この数字だけを見ると、AI検索やAI時代の情報収集行動が、企業にとって追い風になっているように映ります。問い合わせの前段で比較検討が進むのであれば、営業はより確度の高い商談に集中できるはずです。

ところが、同じ調査結果からは、手応えのギャップも見えてきます。比較検討が進んだ状態でリードが流入してくるということは、企業側がその「進んだ検討」に応える材料を、サイトやコンテンツにあらかじめ用意できているかどうかが問われているという意味でもあります。検討が進んだリードに対して、一般的な製品紹介や表層的な比較情報しか示せない企業では、せっかくの好機が生かされず、商談化はおろか再訪問にもつながりません。「AIが効いているはずなのに、手元のリードは動かない」という感覚は、ここに原因がある可能性があります。

本サイトでは、BtoBマーケティングの現場で商談化率が「未測定」のまま運用されている実態を以前の調査でご紹介しました。リードが「商談化しやすくなった」という実感があっても、それを裏付ける計測の仕組みがなければ、改善すべき打ち手を特定することは難しくなります。

リード数を追うだけでは見えてこないもの

ベーシックの調査が示すもうひとつの論点は、リードの「数」ではなく「検討の進み具合」に着目する必要性です。「リード数」だけを追うことでBtoBマーケティングの予算配分に偏りが生じるという指摘は、過去に取り上げた調査でも触れています。リードの質や商談化しやすさという軸を持たずに数だけを追えば、比較検討が進んだ良質なリードと、そうでないリードが同じ「1件」として扱われてしまいます。

こうした背景から、リード数至上主義からの転換を図り、自社コンテンツへの投資を増やす動きが広がっているという調査結果も見られます。比較検討の材料となるコンテンツを自社で持ち、検討段階に応じて出し分けられる体制を整えることが、ナーチャリングの転換の壁を越える手がかりになりそうです。

コンテンツ運用の内製化という視点

ベーシックの調査結果を踏まえると、BtoB企業にとっての論点は「AIが効いているかどうか」ではなく、「検討が進んだリードに応える材料を、自社でどれだけ持てているか」に移っているように見えます。コンテンツマーケティングの内製化が刺さる層にとっては、比較検討段階のリードに向けた記事や資料を継続的に用意できる体制こそが、このギャップを埋める実務上の対応になるはずです。

&.CONTENTが担うINSIGHT(何が転換を高めるかの仮説を立てる視点)とMEASUREMENT(商談化しやすさという効果測定の切り口を持つ視点)は、まさにこうした「検討が進んだリードに何を用意すべきか」を考えるための土台になります。

まとめ

ベーシックの調査は、Webサイト経由リードの65.0%が「商談化しやすくなった」という実感を示す一方で、その背景にある「比較検討の前倒し」に企業側がどう応えるかという新しい課題を浮き彫りにしました。リードの数だけを追う運用から、検討段階に応じたコンテンツを用意する運用への転換が、これからのBtoBナーチャリングの分かれ道になりそうです。

編集後記

今回の調査結果を読んで、数字の良し悪しだけでなく「その数字が何を問いかけているか」を読み取ることの大切さを改めて感じました。良い兆しに見える数字の裏には、次に備えるべき課題が隠れていることが多いようです。今後も実務に役立つ調査知見を、できるだけ丁寧にご紹介していきたいと思います。

#内製化#コンテンツ運用#資産型マーケティング#B2Bマーケティング