コンテンツ運用の仕組み化

広告内製化は「静かに」進んでいる——メンバーズ「広告内製化白書2026」に見る上場企業1,173社の実態

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広告内製化は「静かに」進んでいる——メンバーズ「広告内製化白書2026」に見る上場企業1,173社の実態

企業の広告運用は、外部パートナーに委ねるものという前提が、少しずつ変わり始めています。2026年9月29日、メンバーズは「広告内製化白書2026」を公開しました。この白書は、金融庁EDINETで開示されている有価証券報告書6,245件を独自に集計し、上場企業1,173社の広告宣伝費や組織の動きを分析したものです。注目すべきは、内製化の進行を示すシグナルが、決算発表のような目立つ形ではなく、求人や組織改編といった地味な動きの積み重ねとして現れている点です。

有価証券報告書という「一次情報」に内製化のシグナルを探す

白書の特徴は、アンケートや自己申告ベースの調査ではなく、有価証券報告書という開示義務のある一次情報を分析対象に選んだことです。企業の広告宣伝費の推移、人材採用の傾向、組織改編の記述、M&Aの動向という4つの視点を横断的に見ることで、企業が「内製化を進めている」と公表していなくても、データの積み重ねから実態をすくい上げる設計になっています。

このアプローチは、コンテンツマーケティングの文脈にも示唆があります。「完全内製化」希望はわずか10.9%——メンバーズ調査に見るAI時代の内製・外注バランスで紹介したように、同社は個人のマーケター意向調査でも内製・外注のバランスを継続的に観測しており、個人の意識調査と組織データの両輪で内製化トレンドを裏付けようとしている姿勢がうかがえます。

4つの視点が示す「静かな進行」

白書が参照する求人、組織改編、有価証券報告書での言及、M&Aという4つの視点は、いずれも単体では大きなニュースになりにくいものです。しかし、これらが同じ方向を指して積み重なっていくとき、業界全体の構造変化として浮かび上がってきます。たとえば、デジタル広告や運用型広告に関わる職種の求人が継続的に出ている企業、あるいは広告・マーケティング機能を内包する形で組織改編を行った企業は、短期的な費用削減ではなく、中長期的な組織能力の構築として内製化を位置づけている可能性があります。

生成AIで進むマーケティング内製化——「マーケター名鑑2026」調査に見る外部発注の縮小でも触れたとおり、生成AIの普及は内製化の後押し役として語られることが増えています。今回の白書が示すのは、そうした意向や期待だけでなく、組織や採用という実際の動きにまで変化が及んでいるという点です。

なぜ「静かに」なのか

内製化が大々的に発表されにくい理由は、いくつか考えられます。ひとつは、内製化が一度の決断ではなく、採用・育成・ツール選定・ワークフロー構築という複数の工程を経て段階的に進むプロセスであることです。もうひとつは、内製化そのものが企業の競争力に直結するため、詳細を外部に公表するインセンティブが乏しいことです。白書が有価証券報告書という開示義務のある情報に着目したのは、こうした「公表されない変化」を捉えるための工夫とも読めます。

こうした定量データに基づく市場動向の整理は、自社の立ち位置を把握するための材料として役立ちます。&.CONTENTのINSIGHTフェーズが担う一次情報の収集・構造化とも接点がある取り組みといえるでしょう。

自社の内製化検討にどう活かすか

白書のようなマクロデータは、個々の企業がすぐに模倣すべき打ち手を示すものではありません。しかし、同業他社や近い規模の企業がどの方向に動いているかを定量的に把握することは、内製化を検討する際の重要な参考情報になります。求人動向や組織改編のニュースを単発で追うのではなく、複数の指標を横断的に見る視点を持つことが、内製化の「静かな進行」を見誤らないためのポイントといえそうです。

まとめ

メンバーズの「広告内製化白書2026」は、有価証券報告書6,245件という大規模な一次情報を独自集計し、求人・組織改編・言及・M&Aという4つの視点から、上場企業1,173社における広告内製化の実態を浮かび上がらせました。内製化は派手な発表を伴わずに進むケースが多く、複数の指標を横断して見る視点が、変化を正しく捉えるために欠かせません。

編集後記

有価証券報告書という、普段はあまり読まれない開示情報から市場の変化を読み解くアプローチに、編集部としても新鮮さを感じました。数字の裏側にある組織の動きを想像しながら読むと、また違った気づきがありそうです。

#内製化#コンテンツ運用#編集体制#一次情報主義