コンテンツマーケティング戦略

「完全内製化」希望はわずか10.9%——メンバーズ調査に見るAI時代の内製・外注バランス

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「完全内製化」希望はわずか10.9%——メンバーズ調査に見るAI時代の内製・外注バランス

「完全内製化」を望む企業は1割にとどまる

マーケティング業務の内製化は、コンテンツマーケティングの現場でたびたび話題にのぼるテーマです。株式会社メンバーズが大手企業のマーケティング業務担当役職者303名を対象に実施した「マーケティング業務と組織に関する調査」(2026年9月公表)は、その実態に興味深い数字を突きつけています。

「理想のマーケティング体制」を尋ねたところ、「完全内製化」を望むと答えた企業はわずか10.9%でした。残る88.8%は、内製と外部リソースの併用を理想としています。「すべて自社でやる」ことが目指すべきゴールとは限らない、という受け止め方が広がっていることがうかがえます。

「戦略」は内製、「実行」は外注という二極化

同調査では、マーケティング業務全体の79.2%が何らかの形で内製を取り入れていると回答しています。ただし、その内訳を業務単位で見ると、内製率には大きな差がありました。

  • 戦略企画系業務の内製率:平均68.5%(例: ビジネスゴールの定義・課題仮説の設定=82.5%、価格設計=71.9%)
  • 実行運用系業務の内製率:平均35.8%(例: Web広告運用・SEO対策=16.2%、Webサイト・オウンドメディア制作・改善=17.8%)

方針を決める上流の戦略企画は自社で担い、手を動かす下流の実行運用は外部パートナーに委ねる——この二極化は、多くの企業がすでに実践している役割分担の姿だといえます。「内製化」を単一の指標で語るのではなく、業務の性質ごとに内製・外注の適否を分けて考える視点が求められているのではないでしょうか。

なぜ「完全内製化」を望まないのか

完全内製化が理想とされない背景には、実行運用系の業務が専門性や継続的な運用リソースを要することが関係していると考えられます。戦略企画は自社の事業理解が強みになりやすい一方、SEO対策やオウンドメディアの制作・改善といった実行運用は、ノウハウの蓄積や人員体制の維持に時間がかかりやすい領域です。

こうした業務で外部連携を残すことは、後退ではなく合理的な選択と捉えられます。自社にしかできない戦略判断にリソースを集中させ、専門性が問われる実行部分は外部の知見を借りる——この配分の設計こそが、内製化を検討する上での実務的な論点になっているようです。

生成AIが変える内製化の意味

調査ではあわせて、生成AI活用で重視する方針も尋ねています。最も多かったのは「AIを活用した業務の効率化」(64.7%)ですが、次点には「ノウハウや知識の形式知化・蓄積」(51.2%)が挙げられました。

これは示唆的な結果です。生成AIは単に作業を速くする道具としてだけでなく、これまで個人に属人化しがちだった暗黙知を言語化し、組織の資産として蓄積する手段としても期待されているということです。&.CONTENT が掲げる INSIGHT(記事分析による知見の可視化)の発想とも重なる部分であり、内製化の議論が「誰が作業するか」から「知見がどこに蓄積されるか」へと軸足を移しつつある変化として捉えられます。

内製・外注のバランスをめぐっては、生成AIで進むマーケティング内製化——「マーケター名鑑2026」調査に見る外部発注の縮小でも、外部発注の縮小という別角度からのデータを紹介しています。あわせて、実行運用の内製化に伴う実務上の負荷についてはAIを使っても記事制作が楽にならない理由——内製化の課題調査に見る「編集力」という新要件も参考になります。

まとめ

メンバーズの調査は、マーケティング業務の内製化が「全部自社でやるか、それとも任せるか」という二択ではないことを数字で示しています。戦略企画は内製率が高く、実行運用は外部連携が主流という二極化が実態であり、完全内製化を理想とする企業はむしろ少数派でした。生成AIの活用目的として「ノウハウの資産化」が重視されている点も踏まえると、これからの内製化は作業の巻き取りではなく、自社にどう知見を残すかという設計の問題として考える必要がありそうです。

編集後記

内製と外注を対立軸で捉えるのではなく、業務の性質ごとに分けて考えるという調査結果の切り口は、実務での判断に落とし込みやすい視点だと感じました。今後も同様の調査データを追いながら、内製化にまつわる実態の変化を紹介していきます。

#内製化#コンテンツ運用#編集体制#B2Bマーケティング