検索1位でもクリック率はわずか9%——AI Overviewsが変えた「見られる」の定義

検索1位の「勝利」が、以前ほど流入を意味しなくなっています
コンテンツマーケティングの現場で長らく信じられてきた前提のひとつに、「検索順位を上げればクリックが増える」というものがあります。1位表示は制作チームにとって最も分かりやすい成果指標であり、多くの施策がこの順位を目指して設計されてきました。
しかしAhrefsの調査(Web担当者Forumが報じたもの)によると、この前提はいま急速に崩れつつあります。日本国内において、検索1位表示時の自然検索クリック率(CTR)低下率は、2025年12月時点の38.0%から、わずか半年後の2026年6月には62.7%まで拡大したというのです。実測のCTRはおよそ9%まで落ち込んでいます。つまり、検索1位に表示されたページ10件のうち、実際にクリックされるのは1件に満たない計算になります。
何が起きているのか——AI Overviewsという新しい「答え」の層
この変化の中心にあるのが、Googleの検索結果に表示されるAI Overviews(AIによる概要)です。検索結果ページの最上部に、複数の情報源を要約した回答がAIによって生成・表示されることで、ユーザーは個別のページを開かなくても「答え」を得られるようになりました。
この現象は日本に限った話ではありません。海外の調査でも、AI Overviewsが表示された検索では従来型の検索結果のクリック率が大きく低下する傾向が報告されており、ゼロクリック検索(検索結果からどこにもクリックしない検索)の割合そのものが年々拡大しているという指摘も相次いでいます。検索エンジンの役割が「情報への入口」から「情報そのものの提供者」へと変わりつつある、と表現してもよいかもしれません。
弊社が過去に取り上げた「検索順位はAI引用率に効くのか——国内実測データとコンテンツ設計への示唆」でも、検索順位と引用のされやすさは必ずしも一致しないというデータを紹介しました。今回のCTRデータは、その延長線上にある変化として読むことができます。順位を上げる努力と、実際にサイトへ人を呼び込む努力が、少しずつ別の設計を必要とし始めているのです。
「順位=流入」という前提を見直す
この状況が示唆するのは、SEO戦略そのものの見直しの必要性です。検索順位を上げることが無意味になったわけではありません。AI Overviewsに引用される情報源として選ばれるためには、一定の検索順位や専門性の評価が引き続き重要な要素だと考えられています。
一方で、順位だけを追いかける戦略には限界が見えてきています。AI Overviewsに要約として取り込まれることを意識したコンテンツ設計、たとえば question形式の見出しや、明確な結論を早い段階で提示する構成、一次情報に基づいた具体的なデータの提示などが、これまで以上に重要になってきていると考えられます。
また、流入の計測方法自体も変化を迫られています。AI経由の参照はリファラー情報が欠落しやすく、従来のアクセス解析ツールでは正確に捕捉しきれないケースが増えています。弊社が以前紹介した「AI経由の流入はGA4で見えない——「ダークトラフィック」問題と計測の限界にどう向き合うか」でも触れたとおり、「見えているCTRの低下」だけでなく「見えていない流入」の存在も合わせて考える必要があります。
&.CONTENTの視点から
この種の環境変化は、コンテンツ戦略の初期段階、つまりINSIGHT(分析・戦略設計)のフェーズで捉えるべきテーマだと弊社は考えています。&.CONTENTでは、検索順位やクリック率といった従来指標に加えて、AI検索環境における可視性を踏まえた戦略設計を、コンテンツ制作の起点として位置づけています。
まとめ
検索1位表示時のクリック率が半年で急速に低下したというAhrefsの調査結果は、SEOの「勝ち方」そのものが変わりつつあることを示しています。順位を上げる努力と並行して、AI Overviewsに引用されるためのコンテンツ設計、そして従来の解析ツールでは捉えきれない流入の実態を把握する視点が、これからのコンテンツマーケティングには欠かせなくなってきています。
編集後記
順位が下がっていないのにクリックだけが減っていく——そんな数字を目にすると、これまでの「当たり前」を一度疑ってみる必要を感じます。今回のデータも、慌てて何かを変えるための材料というより、日々の指標をどう読むかを考え直すきっかけとして受け止めています。引き続き、こうした変化の実測データを追いかけていきます。