BtoBは内製化・BtoCは外注拡大——コンテンツマーケティングで進む「逆方向」のトレンド

外注率が業態で逆方向に動いている
コンテンツマーケティングにおける「内製か、外注か」という体制選択は、これまで多くの企業で共通の悩みとして語られてきました。ところが2026年の調査によれば、その振れ幅はBtoBとBtoCで正反対の方向に動いています。BtoB企業の外注率は前年の約70%から63.9%へと低下し、内製へのシフトが進んでいる一方、BtoC企業では外注率が約70%から75.9%へと上昇し、外部活用がむしろ広がっているのです。
同じ「コンテンツマーケティング」という活動でありながら、なぜ業態によって体制の力学が逆に働くのでしょうか。この記事では、その背景にある構造の違いと、コンテンツマーケティングに取り組む企業が体制設計を考えるうえでの示唆を整理します。
なぜBtoBは内製に向かうのか
BtoBのコンテンツマーケティングでは、専門性の高い業界知識や、顧客企業の意思決定プロセスへの理解が成果を大きく左右します。外部パートナーに制作を委託する場合、こうした業界固有の文脈を都度伝える負荷が発生し、コミュニケーションコストが積み上がりやすいという課題が指摘されてきました。実際、中小企業のマーケ外注、不満の1位は「提案が実現できない」——事業理解不足という壁でも触れたとおり、外注先が自社の事業や顧客を深く理解しないまま提案してくる状況への不満は根強く存在します。
こうした背景から、BtoB企業は「自社にしか語れない専門性」を核とするコンテンツを内製へ引き戻し、外部には特定の実行支援業務のみを限定的に委託する、という体制の再設計に動いていると考えられます。生成AIによる下書き作成やリサーチ支援が実務レベルで使えるようになったことも、少人数の内製チームでも一定の生産量を確保できる下地を後押ししている要因のひとつでしょう。
なぜBtoCは外注を広げるのか
一方のBtoCでは、対象とする顧客層が広く、発信するチャネルもSNS・動画・広告クリエイティブなど多岐にわたります。訴求軸やクリエイティブの型を短いサイクルで大量に試行する必要があるため、外部の専門知見やリソースを機動的に借りる方が効率的な場面が多いという事情があります。BtoBに比べて業界固有の専門知識への依存度が相対的に低く、外部パートナーとの協業がしやすいという構造の違いも、外注拡大の背景として考えられます。
体制設計への示唆
この「逆方向」のトレンドが示しているのは、内製・外注のどちらが優れているかという単純な二択ではなく、自社の事業構造にとって「何を内製し、何を外部に委ねるか」を意図的に線引きする必要性です。BtoBであれば、専門性が問われる企画・戦略部分を内製に寄せ、制作の一部工程だけを外部に委託するハイブリッドな体制が現実的な落としどころになりやすいでしょう。
その線引きを考えるうえで、デジタルマーケティング人材の7割が「不足」と感じる時代に、内製化の壁をどう乗り越えるかで扱ったような人員不足の課題は避けて通れません。人手が限られるなかで内製の比重を高めるには、AIによる制作支援を組み込んだワークフロー設計が前提になります。&.CONTENTが目指すのも、まさにこの「INSIGHT(診断)→CREATION(制作)→MEASUREMENT(計測)」の3フェーズを通じて、少人数の内製チームでも専門性を活かした発信を継続できる状態をつくることです。
まとめ
2026年の調査データは、コンテンツマーケティングの体制トレンドが一律ではなく、業態ごとの事業構造によって逆方向に振れていることを示しています。BtoBは専門性と顧客理解を核に内製へ、BtoCはチャネルの多様さとスピードを背景に外注へ——この違いを踏まえたうえで、自社にとっての最適な内製・外注のバランスを見直すことが、これからのコンテンツマーケティング体制設計の出発点になりそうです。
編集後記
外注か内製かという議論は、つい「どちらが正解か」という比較で語られがちですが、今回の調査を見ると、業態によって求められる体制がまったく違う方向を向いているという事実に気づかされます。数字だけを追うのではなく、自社の事業構造に立ち返って体制を見直す視点の大切さを、あらためて感じる内容でした。