BtoBのCPA高騰、筆頭要因は「セミナー/ウェビナー」——広告依存から抜け出す視点

BtoBマーケティングの現場で、これまで手堅い集客手段とされてきたセミナーやウェビナーの費用対効果が揺らぎ始めているようです。IDEATECH社が実施した2026年最新のBtoBマーケティング施策CPA調査によると、直近1年でCPAの高騰を実感していると回答した担当者は約36.0%にのぼりました。さらに、CPA高騰の要因として挙げられた施策のうち「セミナー/ウェビナー」が58.3%と突出しており、「展示会」(38.9%)や「広告・アフィリエイト/外部メディア掲載」(36.1%)を大きく引き離しています。長らくリード獲得の定番手段として位置づけられてきた施策のコストが、多くの現場で重荷になりつつある実態が浮かび上がっています。
なぜセミナー/ウェビナーのCPAは上がりやすいのか
セミナーやウェビナーは、会場費・配信ツール費・登壇準備の工数に加え、集客チャネル自体の獲得単価も年々上昇している領域です。同じ規模の集客を維持しようとすると、広告出稿や外部媒体への露出を増やす必要が生じ、結果としてコストが積み上がりやすい構造を抱えています。開催頻度を上げても参加率が比例して伸びるわけではなく、投じた費用に対してリード獲得数が頭打ちになりやすい点も、CPA上昇を後押ししている要因のひとつと考えられます。
「有料施策は特にない」が最多という現実
同調査では、現在実施している有料施策について「特にない」と回答した担当者が38.0%と最多を占めました。実施している層に限ると「広告」(33.0%)、「展示会」(30.0%)、「セミナー/ウェビナー」(26.0%)が上位に並びますが、そもそも継続的な有料施策を回せていない企業が一定数存在することも見て取れます。加えて、目標CPA・実績CPAのいずれも「わからない/答えられない」と回答した担当者が37.0%に達しており、施策への投資判断そのものが数字に基づいて行いにくい状況にあることもうかがえます。
コンテンツを「資産」として捉え直す
広告やイベント施策は、出稿や開催を止めた瞬間に流入がゼロに近づく「フロー型」の性質を持ちます。一方でコンテンツマーケティングは、一度公開した記事や資料が検索経由・SNS経由で長期間にわたり流入を生み続ける「資産型」の性質を持つとされています。コンテンツマーケティングは比較的低コストで始められ、継続的な費用対効果が期待できる施策として紹介されることが多く、広告費が積み上がりやすい構造への代替・補完の選択肢として位置づけられます。ただし、成果が出るまでに時間がかかる点は広告と異なるため、短期の数字を追う施策と並走させながら、中長期の資産として育てていく視点が必要になります。
内製化を進める際に見落としやすい点
コンテンツ制作を内製化すれば外注費用は抑えられますが、無理に内製化を進めると担当者の負担が増し、成果が出るまでの立ち上がりに時間がかかるという課題も指摘されています。人件費に加えて、書き手の育成・研修にかかるコストも見込んでおく必要があります。実務では、戦略設計や企画立案は社内で担い、制作実務の一部を外部パートナーやAIツールで補うハイブリッド型の体制が現実的な落としどころとして紹介されることが多いようです。
&.CONTENT の視点との接点
今回の調査で明らかになった「CPAを把握できていない」担当者が37.0%にのぼるという結果は、施策別の効果測定基盤が十分に整っていない現場が少なくないことを示しています。&.CONTENTが掲げるINSIGHT・CREATION・MEASUREMENTという3フェーズの発想で見ると、こうした状況はまさにMEASUREMENT(計測・改善)の土台づくりが後回しになっている段階だと言えます。広告費だけが積み上がっていく構造から抜け出すには、施策ごとの費用対効果を可視化しながら、コンテンツという資産を計画的に積み上げていく仕組みが求められます。
まとめ
BtoBマーケティングの現場では、セミナー/ウェビナーを筆頭にCPA高騰を実感する担当者が約4割にのぼり、CPAそのものを把握できていない担当者も4割近くに達しています。広告やイベントに依存した「フロー型」の集客構造から、コンテンツという「資産型」の集客構造へと軸足を移していくことは、費用対効果の面でも検討に値する選択肢のひとつです。内製化のメリットと負担の両面を踏まえたうえで、自社に合った体制を見極めていくことが求められます。
編集後記
CPAが「わからない」という回答が4割近くにのぼるという数字は、施策の善し悪し以前に、まず計測の土台を整えることの大切さを改めて感じさせます。私たち編集部としても、日々のコンテンツ運用の中で「何にどれだけ効いているか」を可視化する意識を持ち続けたいと考えています。